›4 12, 2011

高瀬舟|森鴎外

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高校時代に授業で読んだ「高瀬舟」を最近読みなおしてみた。学生時代には理解できなかったことが今になって分かることもあり、年を取って読み返せばまた新たな視点で読める小説だと思う。学生時代の感想と今では全然違う。

話の内容は、主人公の役人は罪人を島流しにする船の船頭で、多くの罪人を見てきたが、その晩の罪人は心が晴れている表情だった。その罪人の話の壮絶で悲惨な人生を聞き、自分の生活と照らし合わせるのだった。

学生時代には人生経験も無いので、苦労も知らず、苦境にある人ともそれほど出会うことも無かった。またそういった気持ちになることも難しかったと思う。
自分が病気になって初めて病人の気持ちが分かるというが、人生経験をいろいろしておくというのは極めて大切なことだと今更思う。
子育てでも子供には苦労をかけないで楽な人生を送らせてやるべき、というようなことを言う親は多いが、むしろ若いころに徹底して苦労させたほうが後の人生で役に立つのでは無いだろうか。

しかし、高校の教科書の題材としては難しいテーマだったと思う。今更読み直してみたいと思ったので、あの頃授業でやっておいて良かったのだが。


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