›3 07, 2011

電気自動車の将来

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電気自動車はかつてGMがEV1を販売したものの、政治利権などの問題で潰されたことは映画となっており以前紹介した。
誰が電気自動車を殺したか?
 
それから10年が経ってGMは倒産し、電気自動車のブームがやってきた。10年前は燃費が悪くガソリンを消費する馬力のある大型車ばかりが米国で大ヒットした。GMのハマーがいい例であった。その後、環境問題などにより世の中の流れが大きく変わったのだ。

電気自動車が本当に環境に良いのか議論は残るが、今の風潮が続けば50年後にはガソリン車はゼロになるという予測がある。
ガソリンスタンドが消滅し、エンジンオイルの交換などメンテナンス整備会社も無くなるだろう。
大手自動車メーカも多くが倒産するだろう。代わって登場するのが新興メーカということになる。

さて、現在は日産のリーフが世界で一番すぐれていると言われている。三菱アイミーブより価格が安く高性能であり、補助金を入れると299万円とのことだ。
1回の充電での走行距離は150kmと自動車としての機能は限定され、同サイズのガソリン自動車が半額であるとして計算すると毎日相当の距離を乗らない限り費用対効果でガソリン車には遠く及ばない。

但し、機能としてはこれまでの電気自動車と比べ遥かに優れていると思わされた。
そんな電気自動車であるが、中国の新興メーカBYDはバッテリーメーカだけあって300kmも走行できる。そしてインドのタタも参戦する。
トヨタは米国ベンチャー企業のテスラに資本参加し、バッテリーとモータの開発をテスラに頼るだろう。

電気自動車の構造はガソリン車と比べて極めてシンプルであり、新規参入も容易である。
そのため、ガソリン車では寡占化が進んだ業界であるが、電気自動車はスモールハンドレッドと言われる中小企業がたくさんこれから参入してくる。
業界の構造も、自動車メーカをピラミッドの頂点として関連部品メーカ、下請メーカといった垂直統合型から、汎用部品のあつまりできでる水平分業型となる。
これは電気自動車のコスト構成の半分がバッテリーで残りの半分も電装品という電機業界の分野だからだ。

これは電機業界で起こった再編と日本電機メーカの没落とそっくりな構造である。そして電気自動車のブームが過熱すると同じことが実現するのだと思われる。
いや、日本の電機業界は多くが生き残っているが、自動車メーカは巨大な組織と構造の再編についていくことができず、ガソリンが無くなった時点で多くが倒産してしまうのではないかと思っている。

日本でも電気自動車のベンチャーは登場しているが、さらに既存のガソリン自動車を電気自動車に改造する企業も増加している。
長らく安泰だった日本の基幹産業である自動車産業が崩壊するのかもしれない。しかしそれに代わって日本の電機・エレクトロニクス業界が再び世界を席巻するチャンスもあるのではないかと思っている。


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