›1 17, 2011

永続企業は目的とすべきことなのか?

Category: アントレ(起業) / 0 Comments: Post / View

ネットベンチャー企業の先駆けとして絶頂に達し、一気にどん底に落とされた社長の自伝小説「社長失格」は今でも読み継がれるロングセラーだ。
電子書籍版「社長失格」、「失敗から学べ」が出たので、再び読んで見たのだが多くの気づきと考えさせられることがあった。
筆者の板倉雄一郎氏は、斬新なアイデアマンでありスタートアップ(起業)に関し、突出した能力がある。
当時のビジネスモデルもインターネットとデータベースを利用した広告配信と、現在のGoogleのビジネスモデルの先駆けのようにも感じられる。しかし、時代が早すぎたのもあるだろう。当時のコンピュータの処理能力ではビジネスを構築するのに10億もの金が必要となり、資金調達を銀行に頼ったために貸し剥がしにあい、もがき苦しみ自己破産へと至った。

規模は違っても、中小企業の最後は壮絶である。個人補償、連帯保証、担保とがんじがらめになり、企業存続のためにあらゆる努力をする社長ばかりだ。そのような状況下ではほとんどの場合、無駄なあがきで結末が悪化して倒産に至っている。

永続企業が企業の目的と言われる。英語でもゴーイング・コンサーンという言葉が使われる。
しかし、時代とともにビジネスは衰退する時が来る。新しいビジネスに転換するか、じり貧になって企業の貯えを失っていくか、そういう時が来るものだ。
業務内容はなかなか変えられないものである。企業を支える、人、モノ、技術が転用が効かないことのほうが多い。

こんなときでも、もがき苦しみ必死になって企業の永続を目指すものなのだろうか。報われない努力もある。早く事業を整理して企業活動を一旦停止した方が良い場合もあるのではないか。
最近ではシリアル・アントレプレナーという言葉も聞かれるようになった。連続して何度も事業を起こす起業家のことである。企業にはその事業では収益を得られなくなる時期がある。利益を上げられなくなったら、売却や解散という手段がある。
そんなことを当たり前に行う方が、じり貧で永続企業を目指すよりもよほど経済合理性にかなっているのではないだろうか。


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