›10 18, 2010

拝金|ホリエモン

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ホリエモンの小説「拝金」が話題となっていたので読んでみた。ホリエモンの自伝が小説になっているのかと思いきや、そうでもなく創作も面白く楽しく一気に読むことが出来た。
主人公はニートの若者で、金持ちのオッサンことメンターの指示に従い起業して、上場、球団やテレビ局の買収を様々なビジネス手法で展開していく。
主人公とオッサンはそれぞれホリエモンの性格を2つに分けられている。普通の若者が欲望に満ちていく主人公と冷静に分析しビジネス発展に精通している主人公だ。
大まかな流れはホリエモンの歩みと似ているのだが、創作されている話が良く練られていて面白い。ビジネスの展開はいっきにビジネスを成長させた携帯電話のゲームの課金だ。

ヒルズ族と呼ばれたIT長者達のこれまで取材されてこなかった裏舞台である合コンやパーティの様子も面白い。
実在する一流の女性を手配する人物「サル」は、ネットベンチャー界ではかなり有名な存在らしい。
このようなストーリーとは直接関係の無い脱線話がずいぶんと長いのだが、それはそれで面白かった。

この小説の重要なところは、ごく普通のむしろ社会人経験が無い落ちこぼれの若者でも、成功して億万長者になれてしまうところだと思った。実際のネットベンチャー経営者を見ても、経営を学んだものはいないし、新しいビジネスモデルでは不要なのかもしれない。
そしてもうひとつ重要なことは、ホリエモンが経営者時代には言えなかったことを主人公を通してさらに過激に主張していることだ。放送局買収の際には主人公は当時のホリエモンよりもさらに過激にマスコミと対立する。マスゴミと呼び、マスコミの癒着や既得権益にしがみつく姿勢、偏った報道姿勢などを痛烈に批判し、主人公は窮地に立たされる。
金融工学を駆使したファイナンス手法であるMSCBという劇薬も出てくる。

誰でも金持ちになれる、そして金持ちや成功者だけが知る世界がある。小説ではあるがその部分は事実であろう。ホリエモンが考える経営手法も斬新的なイメージを受ける。例えば、平均賃金を一般企業よりも遥かに低く設定し、ストップオプションでモチベーションを上げさせる。そのような世界を垣間見ることができる作品だ。


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