›2 06, 2010

電子書籍と環境問題(CO2削減)

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21世紀を代表するイノベーションは何か?電気自動車に見られるように脱石油エネルギーがすぐに思いつくが、電子書籍も重要なイノベーションだと思う。
電子書籍自体は、薄型液晶モニタとメモリと通信機器といった既存技術の組み合わせに過ぎないが、その仕組みは革新的であり、しかも環境問題という観点からは電気自動車に匹敵するCO2削減や資源保護になりうるのではないかと思っている。

本や新聞や雑誌というのはあまり指摘されないが実は環境に非常に悪い。本をつくるために森林が伐採され、さらに本はかさばるため読み終わると廃棄され燃やされCO2を排出する。例えリサイクルに出しても、実はリサイクルするための費用やその過程で排出されるCO2というのは本を作る以上のコストと排出があるという意見もある。
本や雑誌や新聞は、特に日本では消費者に届かない率(購入されないで返品される率)というのが著しく高く、無駄のかたまりである。
しかも、物流コスト、物流のためのCO2排出、係る人員の多さによる高コストや環境に対する悪影響も非常に大きい。

しかし、今までは代替手段が無かったことと、本・新聞・雑誌は文化的側面も大きいことから環境に悪いということが一部を除いて指摘されてこなかった。
また、経済的影響や、出版ビジネスに係る人数の多さ(本屋もいれると相当数だ)、既得権益というのも非常に大きな影響があるだろう。

しかし世界は電子書籍の時代に入りつつある。昨年はAmazon.comのKindleが大ヒットし、米国では電子書籍に切り替える人数が爆発的に増大した。
そして、今年はAppleからiPadという電子書籍機器が発売される。他のメーカも参入が相次ぐだろう。
単なる電子機器ではなく、産業全体の変革するIT(Industrial Transformation)だと思う。

そんな世界の状況に対して、日本はどうか?
日本の出版業界、新聞業界は世界で最も保守的のようだ。本の価格はどこでも同じであり、出版取次(トーハンと日販の2社寡占)により書店への流通が支配されている。
電子書籍のイノベーションはそのような日本独自の商慣行を徹底的に破壊することになってしまうので、出版業界は断固として既得権益を守るつもりなのだろう。

このような状況では、日本では読みたい本、雑誌、新聞が電子書籍として読むことが困難だと思う。KindleやiPadで読みたい本・新聞・雑誌が読めれば自分はもう電子媒体でしか買わないだろう。
消費者がコンテンツを入手できないのであれば、電子書籍機器をつくる能力が最も長けている日本の電機メーカは開発が遅れ、世界的で取り残されてしまうだろう。
実際に日本の電機メーカは携帯電話でもmp3プレイヤーでも世界一の技術がありながら、世界市場では戦うことができなかった。
そして、環境問題という観点から考えても紙を使い、物流が発生するという観点から非常に悪いのだ。

環境問題をからめてみたが、下記の本などで偽善で欺瞞な環境問題を指摘されている武田教授の考察は非常に興味深い。
批判も非常に多いが、納得できる点が非常に多いのだ。
本が環境に悪いということも誰も指摘しないし、その他方で無意味な環境運動で日本中が熱狂している。
例えば、ペットボトルのキャップ集めによるワクチン購入運動。キャップを集めるための入れ物の方がコストが高く、集めるための人件費を換算するとワクチンを買うどころか経済的には大赤字なのだそうだ。
レジ袋も持参する意味がほとんどない。
最も効果的な環境問題対策は、海外旅行に行かない(旅客機のエネルギーを使わない)、外出しないということになるが、消費活動を限定してしまうそのような環境対策を表だって言う者が誰もいないということ自体が問題だと指摘に感激した。

資本主義なのだから経済は発展させなければ成り立たないが、実は環境問題の多くは経済発展によって生じる。


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