›11 03, 2008

ソロスは警告する 超バブル崩壊=悪夢のシナリオ

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ジョージ・ソロスによる最新のバブル崩壊の理論とその後の世界経済の予測、そしてソロスの投資哲学について書かれた本である。興味深いのが2008年3月までサブプライムローン問題のあとのポジションと戦略について日記風に書いているところ。

まず最初に松藤 民輔という投資家が序文にある。松藤 民輔については以前NHKで見たが、米国で金鉱を買い発掘している元投資家だ。インタビューで金鉱発掘にビジネスモデルなんか無いといっていたところが興味深かった。単純に儲かるかどうかというよりシンプルな理論で動いているように思えた。

さて、松藤 民輔の書いていることはよくわからない。投資にソロスのような哲学が必要だとか、哲学、歴史が無いと相手にされないとか。ただ、読み進めるうちにわかった気がしたのは、一部の人間によって世界の金融市場は支配されているのではないかということである。

さて、ソロスの哲学もまたよくわからない。これはさまざまな書評を読んでもわからない人がいるようだ。再帰性という理論ですべて説明しており、バブルになって経済が膨らんでもやがてマイナスに暴落し、均衡点に達するという説明のようだが、それがどうもわかりずらいし、そのような理解で好いかもよくわからない。日々の裁定取引、スイング理論に近いのではないかと思った。

ソロスの過去の手法を自己分析しているのも非常に面白かった。イギリスのポンド空売りで1日で数千億円儲けたことやアジア通貨危機でもボロ儲けしたことは有名である。ただ、これも金融ビジネスに深く携わっているからこそ入る情報とソロスならではの独自の理論に基づいたかなりリスクを取った投資であったと感じた。最も自分であればソロスのような投資をするといかに多くの人に迷惑がかかるかを考えてしまうが、ソロスの投資哲学の中で倫理感はさほど感じられなかった。

ソロスも書いているように金融市場というのは米国に都合が良いようにできている。米国はドルを刷れば良いし、米国の利益が最大になるように動いていることについても言及されている。未開発国(債務国家)が損をする仕組みであるとはっきりと言及しており、資本主義世界において、公正な競争原理が無いことを問題ともしている。

他方、サブプライムローン問題以降は米国の株、ドルを空売りし、中国、インドといった新興国のポジションを増やしていることを言及している。これについては自分もソロスがこの本を書いていた昨年末から今年の春にかけては同じ気持ちであった。

ただし、ソロスが先に書いたように米国が引き起こした金融恐慌であるにもかかわらず米国の被害が相対的に少ない。中国、インド、そして新興国の通貨は悲惨な結果となっている。最もソロスはもっと長期的視点から言及しているだけにすぎないかもしれないが。

さて、3月までの日記風ではソロスは日々デイトレーダーのように売買し損失を出していることを公開している。リーマンブラザーズが過小評価されているので買ったなど。

自分なりに解釈すると、ソロスのすごさは手に入った情報を自己哲学に照らし合わせ、リスクを取って行動することである。ソロスの日々の投資の日記を見て、ただのデイトレーダーとあまり変わらないような姿も見れた気がして、自分の行動に自信を持とうと思った。



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