›3 12, 2007

粉飾の論理(それでも粉飾は続けられる)

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粉飾の論理を読んだ。
カネボウ、メディアリンクスの粉飾について詳しく書かれている。どちらも基本的なスキームとしては商品を販売し、翌期に買い戻すという手法で売上を計上した点だ。
メディアリンクスなんかは、上場前から粉飾で、販売する商品自体も存在せず、架空の売買だった。
その仕組みを多くのIT企業が利用し、CTC、ライブドア、NTTコムウェアなど多くの信用有る企業、上場企業、新興企業がその仕組みを利用していたことが明らかになった。

要するに、IT企業は売買の仲介に入ってわずかな手数料と莫大な売上高を計上していた。
さらに、IT企業の特性として、原価性がわかりずらい点や、下請け外注を利用した前渡金などのの科目による損失の資産化による持ち越しなど、手法が多様である。

ライブドアの場合は、売上計上できない株式売買による資産計上すべきところを売上と利益に計上した点であるが、スキームが多様している。

さらに、ファンド(投資組合)の匿名性もフル活用して、仕手屋や乗っ取り屋が新興上場企業に群がっている構図もわかる。
上場する際の審査に問題がある点も多いと感じた。怪しい監査法人は、粉飾を知りつつ監査証明を出しているのが現状だということもわかった。

しかも未だに粉飾続行している上場企業、乗っ取り屋などに支配されている上場企業が多数あることをうかがわせられる。

怪しい第三者割当による増資なんかは、ファンド名が海外が多く金の出所が投資家にとって不明瞭な点が多いので、相当注意する必要を感じた。
末期症状の粉飾企業は、最後に手形を乱発するのが定石になっているが、これなんかは投資家は知りようも無い。

自分で調べる限り、相当怪しい上場企業が存在する。というか、健全であった企業も悪意のある連中に介入されてしまうところも出ている。

手口も勉強になるが、投資家としての視点でも勉強になる本であった。

粉飾の論理
粉飾の論理高橋 篤史

東洋経済新報社 2006-09
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