›12 20, 2006

有価証券報告書の読み方(新株予約権等の状況)

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投資にあたって、様々なスクリーニングも大切なのだが、スクリーニングで見えないことがある。それが新株予約権等の状況である。

新株予約権等が行使されると、新株予約権等(ストックオプション)保持者は、一般株主よりも格安な価格設定で株を取得することができる。

例えば、株価が1000円で発行株数が1000株だとする。新株予約権等(ストックオプション)の行使価格が100円、新株予約権等の個数(株数)が100個(株)だとする。
さらに利益が1億円見込としておこう。

この時点で一般株主は1000円で1株取得し、1/1000の価値(議決権)しかない。一株あたり利益は100万円(EPS)ということになる。時価総額は発行株数×株価なので100万円となる。

ところが、この時点で新株予約権等を行使されてしまうと、発行株数が1100株になり、行使者は100円で行使できることになる。本来、新株予約権等は盛り込まれているので、会社の価値自体には変化が無いにもかかわらず、一般株主の議決権が低下しさらに一株当たり利益も低下した。
さらに、新株予約権等(ストックオプション)行使者は100円で取得し、すぐに市場価格の1000円で売却することによって、彼らは900円/一株あたり得するのだが、それを一般投資家が1000円で買う形になる。

そもそもこの時点ではゼロサムなのであるから、行使者が900円得した他方で900円を一般株主が損をしている。最も一般株主数の方が多いから多くの人が少しずつ損をしている形になる。

そんなわけで、長くなってしまったが、潜在株がどれほどあるのかは有価証券報告書に書いてある。それ以降の潜在株は会社のWebページ上のIRや市場のIRで発表されている。

基本的に株式を発行(増資)するということは、第三者割当で既存株主以外に割り当てるのであれば、その時点では既存株主が損をするのだ。

それでも増資をするからには、それなりの理由が必要だ。
増資をすることによって、成長が加速し、既存株主にもメリットがありますよ、ということが大切だ。さらに、増資のタイミングとしては既存株主が損をする前提を考えると、本来既存株主が入手した株価より高い株価で増資する必要がある。(IPOがその良い例だ)

ということで、有価証券報告書やIRを潜在株の視点からみてみよう。

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