›7 10, 2006

ゲーム理論とナッシュ均衡

Category: 経営戦略 / 0 Comments: Post / View

ビジネスの世界では、各プレイヤーの思惑がうずまき、想定外の結果を導くことがある。

「囚人のジレンマ」という問題があり、ゲーム理論の典型としてよく紹介される。

囚人Aと囚人Bがいる。

・ 二人とも黙秘すると懲役1年ずつ
・ 二人とも自白すると懲役2年ずつ
・ 一人が自白し、一人が黙秘すると、自白した方は釈放、黙秘した方は懲役3年

囚人Aと囚人Bはそれぞれどのような対応を取るか?

自白したいが、相手も自白すると懲役は重くなってしまう。相手は自白したいという心理の元に動くとこちらも自白しないといけない。両者にとって特なのは両者とも黙秘だが、自白して釈放という誘惑もある。

と、かなり複雑な思考になる。

複雑な思考ながらも、一定の解決策を見出そうとする。それは、「必ずしも自分にとって最適な解決策で無いとしても、相手の状況がわからないため、自分以外のプレイヤーに依存されて自分もしかたなく(損をしないために)その解決策を取らざるを得ない」という思考による。

すなわちナッシュ均衡とは、「他のプレーヤーの戦略を所与とした場合、どのプレーヤーも自分の戦略を変更することによってより高い利得を得ることができない戦略の組み合わせ、言い換えれば、どのプレーヤーも戦略を変更する誘因を持たない状態」のことである。

このようなゲーム理論、ナッシュ理論は政治経済、ビジネスのあらゆる場に絡んできて使われている。
例えば選挙では、投票権が1票しかなく、上位2団体を選ぶ場合で、1番人気の団体に勝てるわけが無いという状況があるとする。その際、2番人気の団体に入れず、3番人気の団体に投票する状況がある。
他にも911の報復戦争でのブッシュの発言は、テロに協力したものはテロとみなすという言葉があった。
小泉政権は郵政民営化の可否に選択項目を絞り、民主党の消費税問題を国民の目から逸らして支持率を獲得した。

と、自分にとって最も利益があるとは言えなくとも、他プレイヤーの状況から最適な選択をしている例はいくつもある。

イラク戦争などは、参加国の多くの国の国民が後から不平を言う結果となったし。

相手が自己にとって最も利益がある戦略をとっていないときにはそこにゲーム理論が存在していると考えると良いと思う。

なおこのナッシュ均衡を発見し、ノーベル経済学賞を受賞したナッシュ氏であるが、映画化もされた。

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ナッシュ氏の妄想癖がわかり面白い。但し、相当に美化されていることも多方面から酷評されている。

現実のナッシュ氏は、反ユダヤ主義であり、ホモ(両性愛者)であり、夫人は本当はヒスパニック系なのに映画では白人となっいて精神分裂症のナッシュを献身的に支えている姿勢が映画の感動シーンであるが、これも嘘と批判されている。現実には愛人と愛人の子がいて、妻とは離婚しているのだがその事実が映画ではまったく取り入れられていない。

映画をみて感動したり、尊敬したりする人も出てきているので、やはり問題だと思うけど。

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