›6 03, 2005

交渉術-その6「BATNA」         (経営戦略.jp)

「爆弾仕掛けることがいいことだとは誰も思っていない。仕掛けていいか悪
いかといったら、悪いに決まっている。彼がそういう目に遭う当然のいきさ
つがあったんじゃないか」

「(テロが)起こって当たり前の責任の不履行が外務省にあった。国民に対
してうそをつき、誰のための外務省かわからないことをずっとやってきた。
だから国民が怒って、その怒りが高まってああいう形になる。それは否めな
いと思う」

石原知事の発言の要旨です。ちょっと言いすぎの感じがありますが。
しかしながら、知事の発言にあるように国民の外務省や国への憤りは相当に
高まっていると思います。もうこれ以上北朝鮮になめられるのは勘弁ならな
いでしょう。

もう25年くらい前ですが、、イラン革命が起ったとき、イランでアメリカ
企業の社員が逮捕、監禁された事件がありました。
その会社の会長は、社員を救うべく政府に訴えたり、保釈金交渉をしたりと
あらゆる手をつくしました。

その会長は、このままでは社員が殺されてしまうと、もう政府に頼らず、自
分で社員を助けることを決心しました。
元陸軍大佐をリーダーにスカウトし、傭兵を雇って、なんと社員を本当に救
助してしまったのです。

その会長はロス・ペロー氏と言います。
今の日本には、彼のような男気のある者はいなくなってしまった。

だが、昔は日本にも彼のような男はたくさんいたと思います。
どうしていなくなってしまったのだろう。

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▼ 交渉術-その6「BATNA」 ▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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□ 交渉テクニック

前回はハーバード流交渉術の思想を紹介した。簡単に言うと、ハーバード流
では、交渉内容をお互いの利害といった表面的なことから、本質的な問題に
まで落とし込み、お互いに満足する結果を目指す交渉方法である。

交渉においては、相手の立場も考え、相手と共同で満足する結果を導く為に
選択肢をつくりだす。

□ 選択肢

ここで、選択肢をどのようにつくるかを考えてみよう。
まず、先入観を排除することである。
前回、ハーバード流交渉術提唱者のユーリー氏が紹介している、図書館で窓
を開けたがっている人、閉めたがっている人がぶつかっている例を紹介した。
そこでは、窓の開け閉めが利害関係でぶつかっていたが、本質的には、問題
は「換気をしたい」ことと「風で書類が飛ばされたくない」ことであった。

先入観にとらわれると、窓の開け閉めだけに捕らわれてしまったり、もっと
別のことに頭が行ってしまう。

次に、いくつかの選択肢を広い範囲から選択することである。
ユーリー氏の図書館の例では、1つだけであったが、例えば他にも換気扇を
動かすとか、クーラーをつけるとか他にも選択肢が考えられる。

実際にここで有効な選択肢を出すには、当事者の創造力にもよるのだが。

□ criterion

基準のことである。交渉においては重要だ。交渉でいきつまったら、客観的
基準を元に話をしよう。
例えば、金額交渉であれば、提示額が業界内で比較してリーズナブルである
とか、必ず客観的基準を入れよう。

□ BATNA(Best Alternative To a Negotiated Agreement)
交渉で合意が成立しない場合の最善の案という意味である。
欧米人とビジネスしていると、BATNA(バトナ)という言葉が出てくること
があるので、覚えておいたほうが良いと思う。

交渉においては、場当たり的に行うのではなく、事前準備をしてシナリオど
おり進めることが重要であると書いたが、交渉で合意が成立しないこともあ
る。通常シナリオからはみ出してしまった!と思うかもしれないが、これも
シナリオに入れておくのである。

例えば、交渉ではないが、ギャンブルやパチンコで、いくらまで負けたら辞
めると決める。これをあらかじめシナリオとしておくことだ。そうしないと、
勝つというシナリオだけで行動していたら、負け始めたら、動揺したり、ム
キになったりして、どんどん金をつぎ込んで、もっと負けるかもしれない。
(大抵そうなるんだ)

まあ、極端な例であったが、交渉で自分の目的(合意)にたとえ達すること
ができなくても、受け入れられる内容を決めておくことが、BATNAである。

BATNAは、交渉でなくても、様々なビジネス現場でつかうことができるので
常に念頭においてみるべきだ。

逆に、交渉で手ごわい相手だったら、さらにBATNAを隠し持っていると思っ
た方が良い。

ちなみにBATNAをちらつかせ、脅迫の道具に使って使っているのが北朝鮮の
外交である。瀬戸際外交と呼ばれているが、交渉で(北朝鮮の)合意が得ら
れなかったら、恐ろしい手段があると暗に示している。

だが、通常BATNAというのは、相手に悟られないで、自分の中の交渉におけ
るボーダーラインと位置づけるのが普通である。

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▼ コラム子 ▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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米国では、もう音楽産業は終ったと様々なところで言われています。
音楽産業といっても、メジャーレーベルと呼ばれる完全に産業として音楽の
レコード類を販売している大企業のことです。

RIAA (Record Industry Asshole Association)は、音楽産業の衰退は、イン
ターネットで不法に交換して、購入しなくなったからだと主張し、インター
ネット上で頻繁に交換している者(swappers)261人を告訴しました。

驚いたことに、中小独立のインディーズレーベルと呼ばれるレコード会社の
中にこの告訴に反対してる人達がいるのです。

彼らの主張は面白かったです。「RIAAの奴ら!swappers告訴の団体名簿に勝
手に俺らのレコード会社の名前を書くんじゃねぇ。俺らの客は、ちゃんとレ
コードを金出して買ってくれてるんだ。金に眼がくらんで、音楽産業を廃頽
させた大手レコード会社の自業自得だな。あんな、糞音楽に金出して買おう
と思う客が減ったってことさ」

ちょっと、過激でした。。
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北朝鮮に然るべき報いを!

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