›5 30, 2005

スターバックスというブランド(3)

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スターバックスの成功に学ぶブランド構築の続きです。
配信が随分と遅れてしまい申しわけありませんでした。

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▼ スターバックスというブランド(3) ▼━━━━━━━━━━━━━
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■ ブランド構築に必要なもの

スターバックスのブランド構築には、店舗運営、デザイナー、店員教育、
店員、とスターバックス内の全ての人間が貢献していた。

とは言っても、やはりブランド構築には核となる人物がいた。

・テリー・ヘクラー
スターバックスの命名に協力した。それまでもシナボン、エンカルタ、VISIO
などの企業のブランド構築に携わってきた。

スターバックスを買収する以前は、「イル・ジョナーレ」という店名で運営
してきた。
この店名でもかなりの効果があった。

この名前を聞くと、まずヨーロッパの雰囲気が伝わってくるからだ。
他方「スターバックス」という店名はアメリカっぽく、かつ、それまでスタ
ーバックスの名前でコーヒー豆を売ってきており、知名度があった。

何よりもイル・ジョナーレは発音しにく、口頭で綴りを伝えるのは、困難で
発音するのも難しかったので、結局「スターバックス」の名前で合併後の
店舗運営をすることとなった。

今でこそ誰もが感じるが、ブランド構築には記憶に残りやすい社名が必須条
件である。

スターバックスのデザインは、今のマークとほとんどのものをつくった。

「スターバックス」と聞くだけで、あの緑色と人魚のようなシンボルがイメ
ージされる。ブランド構築にはデザインも必須である。それも永続的に普遍
性のある親しみやすいデザインであるべき。

後々、スターバックスが大ヒットすることになると、多くの店がスターバッ
クスのマークを模倣した。
事実、マークを真似しただけで真似した店も大ヒットした。スターバックス
のマークはコーヒーの味を超え、ブランドとなっていた。

(ちなみに私も、スターバックスのマークを狡猾に真似た某コーヒーショッ
プに入ってしまったことがある。コーヒーを飲んでも気づかなかった。)

日本でもドトールコーヒーのエスプレッソ専門店「エクセシオール・カフェ
」がロゴを模倣したと使用差止めを東京地裁に申請するという事件があった。
2000年8月19日(日本経済新聞)以前、ドトールコーヒー社長の講演
会にいったことがある。ドトールを育て上げた涙ぐましい経験談の後、エス
プレッソコーヒーをやったら、信じられないような高い値段でバンバン売れ
ると話していた。

エスプレッソ・コーヒーもそのスタイルもすべてスターバックスに便乗した
ものだった。

■ スターバックス買収後
1987年から1992年まで株式を公開しなかった。

スターバックスは地道にブランドを築き上げていったが、その間には様々な
実験、失敗、試行錯誤があった。

1990年に小売業無責任者ハワード・ペーハーを迎えた。
88年には15店舗オープン、89年には20店舗オープンし、90年30店舗、91年32
店舗、92年53店舗と右肩上がりに成長を遂げた。

驚くべきことは、全て自社所有の直営店で行ったことだ。
通常、ブランドを築いたら、その店舗運営、仕入れ、調達、教育とパッケー
ジかし、FC(フランチャイズ)展開する。
FCでは、フランチャイザーを募り、フランチャイザーは通常自費で店舗を
用意し店を運営する。FCは定期的に健全な店舗運営がされているかチェッ
クをするだけで、その店舗から売上げに応じたライセンス料が調達できる。

FCは、自己投資を削減できるし、何よりもフランチャイザーは自己投資で
店を出しているので必死に働く(つまり、強力な労働力を手に入れることが
できる)とうメリットがある。

ハワード・シュルツもFCをさんざん薦められたであろう。

だが、ハワード・シュルツは全て自社所有の直営店で店舗を拡大していった。
FCではスターバックスのブランドは育たないと判断したのだ。
どこの店舗でも変わらないスターバックスのコーヒー、雰囲気、接客を提供
するためには直営店しか完全には成し得ないと判断した。

利益を出すよりも、店舗に投資してシェアを取ることを優先させる戦略を採
用したのだ。

これはブランド構築にとって、意外な盲点なのかもしれない。
目先の成功を考えるならFCを採用するだろう。
だが、FCではフランチャイザーは自分で金を出していることもあり、自分の
店とう意識が強い傾向がある。FCでは完全に統制できないのだ。

(参考)

スターバックス成功物語
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なぜみんなスターバックスに行きたがるのか? スターバックスマニアックス 想うことが思うようになる努力―ドトールコーヒー成功の原理・原則 すべては一杯のコーヒーから 私のウォルマート商法―すべて小さく考えよ


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マスコミ連中の仕事はいいかげんだなぁ。

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