次回から、スターバックスを事例にブランド構築について分析していきたい
と思っております。
今回は経済学についてです。
これまで何度か経済学について取りあげてきました。
世間では、文章だけの経済学入門書が多々あります。
数年前は、予備校教師(自分でカリスマ教師と言っていた)が書いた経済学
入門書(まんがと文章)がはやりました。
肝心な内容は、ひどいものでした。「~さもないと、日本経済がメチャクチャ
になってしまうんだ」などと誤魔化した記述が非常に多かったです。
ちなみに、出版社に対する売込みは著者自ずから行っていてすごかったの
ですよ。「カリスマ予備校教師のポスターが盗まれた」とか自分でタレコミ
を行うんです。これにはさすがっ!と思いました。
話がそれましたが、経済学を学ぶにはいくつかの数学的な公式が絶対に
必要だと思います。これまでもメルマガで何度か取りあげました。
(巷でハヤリの入門書には公式は出てこないでしょう)
今回もちょっとした公式がありますが、毛嫌いしないで是非読んで下さい。
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▼ 流動性の罠 ▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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■経済学の復習-デフレスパイラル
日本はデフレスパイラルに陥っていると言われている。
デフレとは物価の下落を意味し、物価が下落すると企業の利益が減り、
その結果従業員の給料の減少、リストラ、失業に至り、結果として家計の
収入が減るため、消費活動が減る。
消費活動が減るという点が重要だ。
景気というのは、総供給と考えられ、それは以下の式の結果となる。
C(消費)+I(投資)+G(政府)+T(貿易)
このうち消費が大部分(7割)を占めるので重要だ。
国民一人ひとりが毎日100円でも多く消費すると好景気になるという話も
あるほどだ。
今までの政策は間違っていたと多く主張されているのは、経済学の原則に
反していることが多かったからだ。
クルーグマンによると、日本の景気低迷には大きく分けて2つの要因がある。
1.構造的要因
->高い貯蓄率、労働人口の減少
2.政策の失敗
->金融政策(金利引下げ)、財政政策(社会インフラ投資)の失敗
竹中経済財政政策・金融担当大臣も、クルーグマンの影響を受けていると
言われている。
●クルーグマンのホームページ
http://www.wws.princeton.edu/~pkrugman/
沢山の論文をネットで読むことが出来る(英語)
これまでは、金利を引き下げることによって企業はお金を借り易くし、設備
投資を増やし売り上げを伸ばそうという政策だった。
経済学ではこのような金利引下げ(金融緩和)によって、マネーサプライが
増加し、消費も増えるということになる。
金利を下げても、金融政策が機能しなくなる現象を「流動性の罠」と経済学
では呼ばれる。
つまり、金利が低く、景気が回復する見込みが無いと判断すると、人は金を
使わずに溜め込むのだ。(長期的に利子率が下がりきるのを債券相場が天井
に達し、誰も債権を買わなくなる)
現金が結局流動性が最も高いので、金を使わず、現金として溜め込む。
■知らないと損するインフレターゲット
竹中経済財政政策・金融担当大臣も主張しているインフレターゲットについ
て説明する。
インフレとは、デフレの反対語だ。
物価上昇率を意味する。
インフレターゲットとは、インフレ率を設定し、経済政策で故意にインフレ
を起こすことだ。
インフレが起こると、現金の価値が低下する。ひどいと持っているお札が
紙切れのようになってしまうと、歴史の授業で学んでいるはずだ。
そのため、経済学者の中には故意にインフレを起こすとは何事だ!
インフレ=絶対悪!経済学の理論に反する!
といった意見もある。
クルーグマンは、今の日本にはインフレターゲットしかないと主張している。
これは日銀の政策とも相反する。日銀はこれまで物価安定を政策としていた。
そのため、物価上昇が発生すると、景気回復前に金融を引き締め、結果とし
て元のデフレとなってしまい、デフレスパイラルとなる。
インフレターゲットによりインフレが起こるとどうなるか。
物価上昇=現金価値下落となる。つまり名目金利が0.何パーセントかで
かろうじて金利がつく状態であるにもかかわらず、実質金利はマイナスと
なり、現金を持っているだけで価値が下がるのだ。銀行に預けていても金
が減るような感じだ。
当然これはたまらん!と金を使うことになる。消費が増え、景気が安定す
る、というシナリオだ。
クルーグマンは何故インフレターゲットを主張するのかといえば、それは
日本の独特な構造的特徴にある。
日本では、高齢者層がお金を溜め込み、使わずに、使い切れずに死んでい
く。かといって高齢者層のお金を使うような需要が無い。
それならばインフレを起こして金を使わせるしかないということだ。
もはや、インフレターゲットしか方法は無いのかもしれない。
しかし、既得権益を守ろうとする勢力の力が強いのがこの国の最大の問題
だと思われる。
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このところ、非常に売れているようですが、いよいよインフレターゲット
を実行する気配を感じ取っているのでしょうか。。
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銀行はいい加減にせいよ。