›5 24, 2005

COBIT

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「非情銀行」という今ブームになっている小説を読んだ。

怖かった。久しぶりに現実感に溢れ震え上がる小説だった。
小説と言っても、著者は現役銀行幹部だと言う。だから小説の舞台の
中堅都市銀行内のリストラや派閥争いは、事実に近いのではないだろ
うか。実際、本の半分ほどがこの国の銀行の仕組みや体制の説明とな
っている。

物語は、主人公竹内の同期であり、友人の岡村との呑みから始まる。
岡村はかつてはMOF担のスーパーエリートであった。
しかし、銀行の不祥事による警察の捜査から一線を外された。
この際、岡村は自分の上司にあたる中村らをかばい、一切警察に話さ
ず罪をかぶったと言う。

しかし、岡村は干された。だが、中村がいつかは助けてくれると思っ
ていた。そんな矢先、銀行の合併が近づき、本格的なリストラが始ま
った。エリートの岡村まで、強制収容所と呼ばれるリストラのための
部署、「人災能力開発室」へと送られた。そこは、ひたすら壁をみつ
めるだけが日課となる部署であった。

岡村はすでに女房や子供に逃げられていた。プライドの高い岡村にと
ってリストラは地獄だった。そして電車に跳ねられて死んだ。

主人公の竹内は人事取締役となった中村に怒りに任せ、怒鳴り込んだ。
中村に立てついたものは、この銀行では生きていけないとわかっていな
がら。

中村に睨まれつつも、立ち向かった。

中村は、人材はコストだと言い放った。岡村の死は会社のリストラの
象徴とも言い放った。そして、第2、第3の岡村をつくるとも言った。

#ここから物語が始まるのです。怖い!そして銀行という組織の闇に
つつまれた部分が浮き彫りになります。
是非読んでいただきたい。

P.S.
そう言えば以前ある金融機関の人材能力開発室の読者の方からメールを
戴いたことがある。あの方は今何やっているのだろうか?

非情銀行
4101462216江上 剛

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銀行員諸君! 管理職降格 会長はなぜ自殺したか―金融腐敗=呪縛の検証 最終退行 統治崩壊

▼ COBIT ▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━

前回はかなり抽象的で、3文字英単語も多くて分りにくかったようです。
今回は少し復習します。
皮肉たっぷりにスノーブランドの経営者になったつもりで見ていきます。

(1)ビジョン
 経営方針やミッションのことである。日本中の食文化の向上をミッション
 とし、清潔かつ健康的な価値を提供する。
(2)CSF(KFS)
 製品に対する信頼が絶対に大切だ。老舗として長年培った信頼を守り、
 新しいものを早く提供していく。製品の質が成功ポイント。
(3)KGI
 鮮度の良いものを、迅速に消費者に届ける物流戦略を確立させる。
 良いものを安く、圧倒的な市場シェアを獲得する。
(4)BSC
 4つの視点で競争力獲得のための戦略マネジメントシステムを構築。
 (バランススコアカードは近日詳しくやります)
(5)KPI
 BSCで分割した単位ごとにマイルストーンを立て実行
 財務、顧客、内部、学習と成長のそれぞれの視点で分割

さて、今回はCOBIT。


□COBIT
COBIT(Control Objectives for Information & related Technology)
とは情報技術コントロール目標と訳される。

米国産まれのこの用語は、「CSOまたはCIOが組織のITガバナンス能力を内部
統制する」ために作成された成熟度モデルである。


□7つの基準
COBITでは7つの情報基準を定義している。文字どうりの意味なのでイメージ
は比較的立ちやすいのでは?あくまでも切り口。
(1)有効性
(2)効率性
(3)機密性
(4)完全性
(5)可用性
(6)準拠性
(7)信頼性

□4つのプロセス
COBITでは4つの管理プロセスを定義している。
(1)企画・計画と組織
(2)調達と開発
(3)運用と支援
(4)モニタリング

COBITをどのように活用していくか?
実際には4つのプロセスの下にはさらにプロセスがある。(合計34個)

これらのプロセスごとに先の7つの基準でマトリックスをつくり評価して
いくのである。

大切なのは、切り口である。これはいつも考えさせられる。
問題をどのような切り口で責め分析していくか?

COBITの手法がIT化だけでなく、日ごろの問題分析の助けになるかもしれない。


□切り口、プロセス、そして原則
考え方の切り口とプロセスがわかった。
では、それを成果物(すなわちドキュメント。ここではIT化企画書)にどう
していくか?

ここでは、9つの原則を紹介しよう。
(1)整合性の原則
(2)範囲適正の原則
(3)期間適切性の原則
(4)費用対効果性の原則
(5)実現性の原則
(6)効果測定性の原則
(7)再評価性の原則
(8)周知性の原則
(9)説明責任性の原則

かんたんに説明だけして終る。
(1)整合性の原則
 経営方針、長中期計画、短期計画の整合性
(2)範囲適正の原則
 有効な戦略を策定しやすいように
(3)期間適切性の原則
 計画を2,3年の期間で
(4)費用対効果性の原則
 IT化による人員削減からTCO(トータルコスト)まで
(5)実現性の原則
 シュミレーションから実現可能性
(6)効果測定性の原則
 成果の測定、モニタリング基準策定
(7)再評価性の原則
 経営上およびIT上の前提条件から再評価・代替案を
(8)周知性の原則
 関係者全員に方針と内容の周知
(9)説明責任性の原則
 企画から実行へ。それには役割分担と責任範囲を明確に

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今回は短かった

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