›3 27, 2014

認知行動療法「うつと不安」

Category: 健康法 / 0 Comments: Post / View

昔悩んでいる時に一冊の本に出会った。鶴見済という作者の「人格改造マニュアル」という本だった。
「自殺もせずに何とか生きていくための実用書」という謳い文句だった。

作者の前作の「完全自殺マニュアル」はそれより前に一世を風靡した。「いざとなったら自殺すれば良い」と嘯いていたが、作者が生き続けているように逃げ場の無い人生の隘路にいる人にとって最後の手段を持つことによる安心感を与えたはずである。

「人格改造マニュアル」では、当時はまだ医療認可のとれていなかったうつ病治療薬SSRIが紹介されていたり、まだ心療内科がそれほど認知されていなかった中で抗不安薬について書かれていて衝撃的だった。

常に不安でイライラしたり、心配性だったり強迫観念にある人が薬で性格を変えることができ人生が開けたという多くのレビューを目にした。
それまで薬は怖いもの、薬は一時的なものという固定観念があった中、「薬で楽になるなら一生飲み続ければいいじゃん」、「薬で明るい性格になれるならそれでいいじゃん」と人間本来の性格なんて無くて、薬を飲み続けたときの性格で良いとしてしまうその発想が革命的に感じた。

薬に関して衝撃を与えた人格改造マニュアル中でひっそりとサイコセラピーの章があった。そこでは認知療法が書かれていた。

意外にも読みなおしてみるとその認知療法が性格を変えるのに最適だと思ったのだ。
本書で薬によって世界が変わるほど劇的な効果の体験談が載っているが、試してみても軽度な症状ではそこまでの効果が実感できない。それに比べて認知療法は考え方の歪みを矯正する手法だ。

認知療法では、外的な出来事が感情や身体反応を直接引き起こすのではなく、そうした出来事をどのように認知するかによって身体反応や感情、行動が異なってくることに着目している。

思い込むと小さい世界で生きてしまう。リストラの恐怖に怯える人は自分がダメ人間だと思い込み、もう転職もできず稼ぐことができないと考えてしまう。
いじめられている人は、逃げ場が無いと思い込んでいる。

白か黒かと極端化してしまったり、小さな事実から「全てこうだ」と思い込んでしまう。その思い込みが心身に支障をきたし、動悸、過呼吸、震え、不眠などが発症し、それがさらに小さな世界へと導いてしまう。

悪い方に考えてしまう、マイナス思考は認知の歪みから引き起こされる。認知の歪みを正し、その反応を変えることで症状から開放されるのである。

うつ病患者は10年間で2倍以上に増加した。今ではオフィス街など至る所で心療内科を見かけることが出来る。気安く通院できるようになったという環境変化もあるが、やはり長く続いた不況の影響が大きいのは明らかだ。(これは自殺率とも相関している)

学校、会社と閉ざされた社会の中で日常のほとんどの時間を過ごすと外の世界が見えなくなる。それに加えて住宅ローンなどの借金の返済、上昇する生活費がプレッシャーとなり今ある生活が脅かさる中で、新しい世界や価値観が見いだせないことが大きな原因だろう。

そんな認知の歪みを矯正させることが、うつや不安から開放されるきっかけとなるはずだ。

Comments