›2 04, 2013

コストプッシュ型インフレとディマンドプル型のインフレ

Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments: Post / View

「アベノミクス」は国内で高い評価を得ているだけでなく、ノーベル経済学賞受賞のクルーグマンにも好印象だ。
インフレターゲットを2%に設定し、そこに至るまで金融緩和を行う。マネタリーベースが増加し、じゃぶじゃぶに資金を供給するリフレ政策だ。それに加え、需要喚起のため、財政出動を行う。

株価は上昇を続け、円安が進んでいる。

このような政策に対し、ドイツなど日本と競合する輸出産業国からの反発を買っている。

アベノミクス政策により、主に為替レートから日本の製造業が盛り返しつつある。日本は輸出大国と言われたのは過去の話で、現在は貿易赤字国となっている。
輸入におけるエネルギーや材料の価格が上昇するが、それよりも円安による輸出増加による恩恵の方が大きいと、ゴールドマン・サックス等の金融機関がレポート発表している。

インフレには、コストプッシュ型インフレとディマンドプル型インフレがある。
コストプッシュ型インフレは、輸入物価の上昇によって引き起こされ、コストが増加するばかりで企業の販売量が増えないと給与や可処分所得の増加につながらない。
ディマンドプル型インフレは、需要が増加することによって企業の販売量も増えるので、給与や可処分所得の増加につながる望ましいインフレだ。

日本は需給ギャップが大きく苦しんでいる。つまり需要不足であり、企業の生産過剰である。「アベノミクス」により公共事業の投資が増加すると思うが、その他のグローバル競争に晒されている産業の需要増にはつながらない。円安で利益が回復する位であり、電機業界に見られるように国際的な競争力は低下しているので、円安で売り易くなったからといって需要がそう簡単には増えないのではないだろうか。

アベノミクスの負の点についてあまり議論されていないのではないか。一時的な景気回復により消費税の増税を行う可能性が高いが、そうなったとき国内の需要は一気に停滞する。増税を行わなければ、財政収支は改善されないかのような議論が多いが、むしろ増税により需要の収縮の方が恐ろしい。年金の削減、公務員削減など歳出を思いっきり下げなければならないときが来るのではないかと思う。

また、国債をいつまで発行し続けられるかも疑問が多い。日本国債は国内で買われているが、買っているのは生保、銀行、郵貯といった老人の資産を元に金融機関が日銀が買い取る保証付きで利幅を抜くために買っている。しかし、買い手の老人は死ぬ前に資産を解約し下ろしていくのが普通だ。

買い手がいなくなった国債は、暴落し日本の金融機関は評価損でバタバタと倒れ救済される運命にあるのではないか。



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