›10 13, 2011

産業界の6重苦

Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments: Post / View

大企業の経営者の多くが現在の日本での環境を「6重苦」と非常に厳しく表現している。この言葉が出るのは、「日本国内での産業は成り立たない。工場など生産工程を海外に移管を検討している。」という産業空洞化をほのめかしている。

産業界の6重苦とは、以下の6つを指す。
1.円高
2.世界一高い法人税率
3.自由貿易協定(FTA)、TPPの立ち遅れ
4.電力不足
5.製造業の派遣労働禁止
6.温室効果ガス排出量の25%削減

日本の法人税の実効税率は40.69%であり、30%前後の欧州、25%前後のアジア諸国と比べて高い。
また、日本の貿易総額に占めるFTA対象国の割合は16%と非常に低い。
温室効果ガスの25%削減問題も深刻だ。鳩山由紀夫前首相が国連気候変動サミットで「国際公約」したことで、企業にとって大きな負担となっている。25%削減をすべて国内で行った場合、GDP(国内総生産)は3・2%減るという試算があるほどだ。
電力事情に関しては、政府は東京電力、東北電力管内の大口電力需要家に昨年比15%の節電を義務付ける電力使用制限令を発動した。これによって生産性低下が免れなくなった。

この6重苦以外にも多くの弊害が日本国内に存在する。円高とデフレにより、労働者の実質賃金は値上がりし、日本の法律上解雇が簡単にできない。デフレにより清算する商品の価格は下落し、不景気により国内消費の需要も低迷している。

このような環境下で日本で生産するのは余りにも過酷な状況と感じる経営者が多いのも納得できる。海外に需要があるなら、その地域で生産し、納税する方が理にかなっている。このような企業が増加し、国内産業は空洞化し、日本に何が残るのであろうか?


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