›6 01, 2005

リレーション営業-エグイ

Category: アントレ(起業) / 0 Comments: Post / View

コミッション型で営業をされている方はさぞかし大変でしょう。
精神的にも、また実際数字をつくるのも。例えば生保レディーのようなコミ
ッション型ですと、体を壊されるかたも多いようです。もしくは、あらゆる
手をつかって仕事を取ったりも。
コミッションでやるなら、法人とかまとまった数字を出せるところに強烈な
コネがあるとかでないとまったく割に合わないのが現実ではないでしょうか

先物売買なんか、さらに大変そうですね。ひたすらテレアポしても、99%くら
い断られるのでは?先物と聞いただけで、ヤクザよりも恐ろしい、人生で敗
退するようなろくでもない人間がやるような印象も、まだまだ根強いと思い
ますし。

今回は、また営業マンが大変だという内容です。

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▼ リレーション営業-エグイ ▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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前回書いた内容は高額商品を売るということがいかに大変であるか、という
ことで、売るためには色々と手の込んだことが必要となってくる、という結
論だ。

何故そのようなことを書いたかというと、巷では営業マニュアル的な本が、
馬に食わせる程出回っていて、どれもすぐに効果が期待できるような書き方
がされているからだ。そのような本の殆どが小額商品で、お客さんにあまり
必要とされていない商品を売り込むものだったりする。
もしくは、売り込まないで、心理的にうまく購買担当者やお客さんの買いた
いという気持ちを引き出すテクニックだったりする。
もちろん、それらの本はそのような商品の販売には効果があるだろう。
だが、このような不景気な経済環境によっては、効果が発揮できる機会は
非常に限られていると思うのだ。

では、このような状況下で、しかもニーズの無い商品やサービスを売りまく
っている営業マンはどうしているのか?
これはあくまでの筆者の知っている何人かの凄腕営業マンの手法である。

□ リレーションで引っ張る
リレーションとは、まあ人脈である。凄腕営業マンと半年間一緒に回った時
の経験から一生懸命思い出して書いている。
その男は20代後半の若手営業マンである。大手生命保険の法人営業として
多くのベンチャー企業経営者に企業保険を売って回っていた。これはルート
営業であり、実力で獲得した顧客ではない。つまり会社の看板を頼りに回っ
ていた。次にベンチャー企業に就職し、ITサービスを売った。ここで新規
営業手法を学んだという。
その手法は、まずアポ取りだ。ベンチャーなので、当然取引先も既存顧客も
限られていた。そんな中、急上昇ITベンチャーでは、まずテレアポそして
飛び込み営業で数打つことを徹底していた。
彼はこの手法を疑問視していたようだ。これ以外に方法は無いにしても、テ
レアポは心理的にも辛いし、効果も薄い。ただここでは精神論を学んだとい
う。
次の会社では業界では老舗の会社で、会社名はそれなりに知れていた。
ここでこの男の本領が発揮された。
老舗企業だけあって、もともと優良顧客がおり、しかしながらその顧客をう
まく活用できない為にビジネスを大きくできていないということを発見した
のだ。
彼は、まずは顔を覚えてもらう為に、その企業をひたすら回り、今まで以上
に顧客との関係を強化する為に、顧客の使い走りでもなんでも手伝い、かな
りの部分を任せてもらえるようになった。だが、それほど発注が増えたわけ
でも売上げが増えたわけでもない。

彼は使い走りをやることにより、業界の裏ネットワーク(担当者間の個人的
な付き合い関係や企業間の政治的な付き合い)を知るようになる。そのよう
なネットワークはどの企業もたいていあり、(建設業界や広告業界は非常に
多い)、彼はそれを熟知しまた、信用され仕事を少しずつまかせてもらえる
ようになり、やがて自分のスキームでビジネスモデルをつくることができる
ようになるに至ったのだ。
要するに、どのような仕事も彼を通して、彼が折衝をこなした。それにより
いくつか企画ベースのビジネスが実現した。ここまでを半年でやり遂げた。

実際には、このような話は多々あることがわかった。そして、それは利権な
のである。自分のつくったスキームが商流になれば、自分で会社をつくって
そこを通して受発注をしたくなる。
事実、実際にやっている奴は多い。

□ その功罪
サラリーマンが自分の力でビジネスを大きくしたり、企画を実現するのは
非常に大変だ。特にこのような不景気な時代だ。
多くのビジネスがこける。必ず成功するとわかっているビジネスモデルには、
利権が付きまとう。

このようなリレーションで仕事を大きくするタイプの人間を何人か見たが、
まず狸だった。表の顔と裏の顔が違う。2枚舌、3枚舌は当たり前だった。
あくまでもビジネスだから、利害関係が一致していれば誰も気にしないのか
もしれない。
人間関係を完全に損得勘定に換算していた。こいつは俺を儲けさせてくれる
か?

うわべだけの人間関係、口だけの男である。

だが、考えてみれば、政治家も同じようなものなのかもしれない。
友達は少ないようだった。少ない友達というのも、同類の者だろう。

さらに、このようにリレーションで仕事をするというのは、綺麗な入札や
コンペで仕事をするのと違い、競争が働かない。出来レースだ。
最初からスキームどおり動くのだから。
当然コストが高くなる。利権があるのだから、沢山抜かれる。
これは金を出すほうも、サービスを提供する側にとってもマイナスだ。
また、仕事のレベルが低い。スキームが決まっているのだから。

□ 日本の現状
これが日本の現状だと思う。大企業にしても中小企業にしても。
新しいIT業界なんかは、比較的健全な業界だと思うが、ゼネコン、広告、
商社、不動産といったいかにも怪しい業界では、何かビジネスの話があると、
決まってこのような営業マンが現れる。

政治力といって、本当に政治家が噛んでいることもある。これはビジネスが
大きくなればなるほどある話だ。
そして、そのような折衝能力というか自分の人脈をリレーション化し、人の
企画でスキームを作り上げる人間が、本物の営業マンだと言われることも多
い。
筆者がかつて彼と一緒に回った半年間を思い出してみた。
大企業の今まで知らなかった裏の業界マップを書くことができた。
彼が複数の企業の裏ネットワークをリレーション化し、裏で様々な利権があ
ることを知った。今思うと彼の本音はわかならい。
あるビジネスでまた同じ会社が出てきて、たまたまかと思っていたら、後に
なって彼が裏で糸を引いていたことがわかったこともあった。
時にはわざと、1つのビジネス上で2人を喧嘩させて、自分が動きやすいスキ
ームをつくったこともある。これも後で知ってぞっとしたことである。
怒りの感情は決して出さなかった。ある人に怒りを感じた場合、うまく裏で
人を動かして、失脚させたりもしたことがあった。これも後で知った。

ビジネスをゲームとしていたのだ。
今思い出すと、まるでシドニー・シェルダンの「ゲームの達人」である。
ちょっと懐かしいが。

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うまく渡り歩く男である。このような男は決して表舞台には現れないのだろ
う。

□ まとめ
このように書いてきたが、筆者は読者の皆さんがこのようにはなって欲しく
ないと思っている。人間関係というのは、まず金銭勘定に成り立つものにな
るのは、むなしいことだ。
大企業で不正取引などで逮捕される者をテレビで見る機会が多いが、それは
考えてみると、利権争いで負けた者の姿なのだ。
裏業界マップなんかいらない。正攻法でビジネスをして欲しい。
だが、実際には、営業マニュアル本なんかで取れる仕事は、限られていると
いうことを覚えておいて欲しい。


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夏が来ないのは、都会の出す熱が気象に及ぼす影響かもしれない。

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