中国に関しては賛否両論があります。
製造業に勤務している人は、もう中国という言葉を聞かない日はないでしょ
う。今や、人件費よりも成長しつづけるマーケットに興味がある企業も多い
かもしれません。
そのマーケットが天国か地獄か。。どちらか。
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▼ これからの中国 ▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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今や中国との関係なしに製造業は生きていけないとまで言われる時代になっ
た。
あまりにも中国、中国と言われつづけているので、筆者の知人関係を辿り、
中国ビジネスのコンサルティングをしている方、シンクタンクで中国を調査
している方、上海出身中国人といった方々にインタビューしてその現状と
日本企業が成功するポイントについて考えてみた。
色々な話を聞いたが、ポイントを纏めると以下の結論が導かれた。
(1)中国は今後10年間経済成長する。
(2)中国マーケットを狙っても多くの日本企業は失敗する。
(3)今中国マーケットで成功している日本企業も今後撤退の可能性が高い。
ではそれぞれの根拠を説明していこう。
中国は広い。中国で高度成長しているのは現在海沿いの地区だけである。
特に上海は中国というよりは外国のような地区であり、一人当たりのGDP
は32,000元を超えていて中国最高である。順位が10位の地区は8,000元強で
あるから(それでもすごい方)、上海はずば抜けていることが分る。
* 1元=約15円で計算
現在の中国の政策は、上海、北京、天津といった地区から経済発展させて、
中国内陸部から安い賃金の民族を雇い使うというものだ。
つまり、上海を始めとした地区が、賃金が上昇しても大陸に何億人もかまえ
ているので今後数十年は人件費で悩むことは無いと思われている。
さらに、今後の中国の発展に以下2つの重要なポイントがある。
・内需拡大 ・・・①
・イベント目白押し ・・・②
どちらも経済学的に非常に重要な指標だ。
GDP=C+I+G+NX
(消費(C)、投資(I)、政府購入(G)、純輸出(NX))
と経済学では計算できる。(右辺の結果として左辺となる)
①は消費であり、②は投資と言える。
内需拡大は上海等地区の内需拡大から各地方に波及することとなる。
現在上海で言えば、観光業が盛んで1兆8千億円規模となっており、経済全体
で6%のシェアを観光業が担っている。だが、驚くべきことに何と年間9500万
人の中国人が上海に訪れているとのことである。これはまさに内需拡大を意
味しているといえる。
イベントに関しては、 2008年の北京でのオリンピック開催、2010年の上海で
の万博開催、2004年からの上海F1開催、2006年上海ユニバーサルスタジオ
開催とある。
日本が戦後イベントの度に経済が大幅に発展したのと同様である。
外資による投資はさらに深まる。
上記のような根拠もあり、今後も中国は7%以上の経済発展を維持すると思
料される。(但し、中共の体制崩壊といった危険指数を無視している)
(2)に関しては、中国ビジネスコンサルタントや既に撤退した日本企業から
聞いたことだ。やはり文化の違いの大きさもあるが様々な障壁が存在する
ようだ。
障壁には、現地情報不足、中国企業の模倣化の速さ、市場変化の早さといっ
たものがある。情報不足には例えば、政府方針の情報の不足もある。
共産主義の国では、例えば国の方針で道を作るとすると、家だろうが企業だ
ろうが道を作るのに邪魔なものは簡単に取っ払ってしまう。ここでは、文字
通りの”道”のことだが、共産圏の道は広くてまっすぐだ。
その点、日本では立退かない家があったりして、道がぐちゃぐちゃで頭に来
るのだが。。
模倣化の速さは、中国のバッタ物市場(不法のイミテーション)を見てもわ
かるはずだ。
そして(3)だが、現在中国マーケットで受けいれられている日本企業(製造業)
だが、某デパートや、某酒造メーカー、某コンビニエンスストアといった、
日経系雑誌で成功中と思われている企業でさえも、実は将来かなりの確率で
撤退の可能性があると、中国シンクタンク関係者は語った。
現在の中国メーカーは日本企業による市場醸成を待っているところが多いよ
うだ。つまり、日本企業が中国消費者に対して、サービスの概念を植付け、
消費者を育てる。一旦市場が成熟期に入ると、中国製造業はそのまま日本企
業の模倣化戦略でより中国人気質に合致したサービスを投入し、さらに低コ
スト、知名度で圧勝するという作戦だ。デパートのヤ○ハンがヤラレタよう
に。
成功する日系企業は、やはりユニクロのようなファブレス企業(自社で製造
向上を持たない企画立案型メーカー)であったり、トヨタ、ホンダのような
巨大製造業で、さらに重要なことは中国マーケットには売らないということ
だろう。
さて、このように書いたが、実際は中国についての将来は不安定要因が多す
ぎてどのようにシナリオが変化するかわからない。
中共に対する不満増大、貧富の格差からの暴動、台湾情勢の変化(武器使用
さえも)、チベット、ウイグルへの弾圧、人民元の切り上げ(これは経済学
的には必然であり、中共が抑えられるのは時間の問題では?)ときりが無い
のである。
中国でビジネスと製造業なら誰でも考える時代になってしまったが、最新情
報として有益であれば幸甚である。
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著者の何清漣は女性歴史・経済学者であり、1997年に改革の誤りを大胆に指
摘する『中国的陥穽』を著し、発禁となる。米国に逃亡中英語版で人気が出
て日本語化。
精密な統計と科学的な分析に基づく本書は、中国の本当の恐ろしさを骨の髄
まで知らしめることでしょう。(というのは脅しすぎ)
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しかし、日本国内だけを考えている人はもう生き残れないだろうな。