1985年のプラザ合意以降、円高・ドル安時代が訪れた。
85年8月末には1ドル=237円だった為替レートは、最も円高の時で1ドル=
80円台にまでなった。
□ 円高がもたらしたもの
円高によって日本の輸出が大幅なダメージを受ける。
日本製品が海外からは高くなってしまうからだ。
製造業、農業といった国内生産し海外輸出する業者のダメージだけでなく、
円高は日本の多くにダメージを与えた。
円が力を増したために、米国からは軍事負担を強く求められた。
(バードン・シェアリング)
円の力が増したので、海外の企業・不動産・芸術品を買いあさり文化摩擦ま
でおこった。
工場は海外へ移転した。
海外移住者が増えた。帰国子女が増えた。
地場産業は崩壊した。
産業の空洞化が起こった。
外国人労働者が増えた。
不法労働者の増加、外国人による犯罪が増えた。
外国企業が日本進出した。
日本の保守的な制度への批判が海外から起こった。
国内地価沸騰した。
バブって儲けた連中がいた。
その連中への嫉妬が生まれた。
政党間支持者のバランスが変わった。
などなど。。。
為替レートの長期的な動きに関わる理論
購買力平価説(PPP:Purchasing Power Parity)
為替レートと物価の間には密接な関係がある。
円ドルレート変化率=日本の物価上昇率―アメリカの物価上昇率
St = Pi(Yen)/Pi($)
□ 一物一価の法則
同じ商品はどこでも同じ価格がついているはずだ、という考え方。
マーケットの基本原理で、もし価格が違えば、安く買って高く売ることが
できてしまう。このような行為を裁定行為(アービトレージ:Arbitrage)
という。
その結果価格はある水準に均等化する傾向を持つ。
□ 金利(利子率)からみた為替レート
もしアメリカの金利が上昇したら、日本の円資産で資金を運用するよりは
アメリカのドル資産で運用するほうが有利である。
資産を円からドルへ置き換えようとする人が出てくる。
これは外貨為替市場では「円売り・ドル買い」の動きとなる。
しかし、市場では円売りとドル買いの取引量は一致する。
この取引量の調整は、結局為替レートを「ドル高」の方向へ持っていく。
このように、金利は為替レートを決定する重要な変数であり、為替レート
決定のファンダメンタルズと呼ばれる。
金利平価理論(IRP:Interest Rate Parity)
F($) = {i(Yen) - i($)}/{i(Yen) + i($)}
為替相場は直物為替市場と先物為替市場の裁定関係から決定される
□ フィッシャーの法則
i(yen) = r(Yen) + P(yen)
2国間で実質金利が同じ場合、2国間の名目金利の差は、期待インフレ率の
差である。
これらの理論でいくと、結局外貨預金によって資産を増やそうしても無駄
ということにる。アービトラージで金利の高いほうへ皆が自分の資産を移
そうとすると、その国の為替レート(変動であることが当然条件だが)に
よって均衡するから。
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